Oni:
Thunder God's Tale
Tonko Houseにより作られ、Netflixにより制作されたオリジナルのアニメーションシリーズ。
堤大介監督の本作は、神話上の生き物で溢れる日本の山深い風変わりな町で、不思議な父親に育てられる女の子、おなりの成長物語。
Megalisは合計2時間47分の放映時間の4話全てのビジュアル制作を担当。
この作品の制作の裏側、そしてどのように「ONI」のユニークなスタイルが作られたのかをご紹介する旅にお付き合いください。



INDEX
ONI: THUNDER GOD'S TALE
・はじまり
・キャラクターターンテーブル
・Tonko Houseとの仕事
・ツールとパイプライン
・世界観
・キャラクター
・アニメーション
・コンポジティングブレイクダウン
・チーム
・まとめ

The Start
THE FIRST PILOT
Megalisのチームは2018年に「ONI」のパイロット制作作業についてTonko Houseから連絡を受けた。
Tonko HouseはPixarでアートディレクターとして働いていた堤大介とロバート・コンドウ(カリフォルニア州バークレー拠点)によって立ち上げられ、2人は彼らのアーティスティックなヴィジョンをストップモーションからフルCGのアニメーションに移行できる日本のスタジオを探していた。
「ONI」で仕事を始める前から、我々は既にアカデミー賞にノミネートされた短編映画であるTonko Houseの「ダム・キーパー」を見ており、その短編の総合的なスタイルに魅了されていた。 . 「ダム・キーパー」には古い日本のアニメーションを彷彿とさせるスタイルがありつつ、非常に高いクオリティの現代的なタッチが加えられていた。 この新たなプロジェクト「ONI」でTonko Houseと一緒に働けるチャンスに我々は飛びついた。
広範囲にわたる複雑なエンバイロメントを作る上でストップモーションには限界があり、「ONI」は元々ストップモーションとフルCGのエンバイロメントを組み合わせて作ることを想定されていた。
我々は別の日本のスタジオ、Dwarf Studioと共同で、ストップモーションとCGのエンバイロメントをディープイメージコンポジットとコンポジットの技を駆使して組み合わせるためのテクニックを検討する機会も得た。
日本のトップのストップモーションアニメーションスタジオであるDwarf Studioとの共同作業は素晴らしく実りのある経験となった。

東京郊外の大型倉庫で、Dwarf Studioは「ONI」の全てのエンバイロメントのセットをミニチュアとして作り上げた。 これらのセットは現実世界の相対物の縮小版ではあるが、それらを収めるためには大きな空間が必要だった。
このプロジェクトではフルCG要素とストップモーション要素がミックスされた。例えば、Dwarf Studioのチームは洞窟の家の室内をミニチュアのセットとして作り、それはフルCGの最終バージョンを作る上でのリファレンスとして使用された。 ミニチュアセットと小道具は全て伝統的な素材を使い手作業で一から構築された。
STOP MOTION


Dwarf Studioのアーティストたちは細部へ驚くべき注意を払っている。 . ショットを見ると多くの紙、布、木材、プラスチック、そして様々な種類の繊維が作品を通して使用されていることが分かる。
Dwarf Studioが作ったミニチュアセットにはリアルなルックと質感があった。 次元削減で機能するために、これらのデザインは簡素化される必要があった。 ライティングは常に(CGのライティングとは違い)リアルだった。 おなりの寝室セットの細かいディテールは作品の開発段階でチームにとって閃きを与えるのに重要な役割を果たした。


ストップモーションアニメーションは(ある程度のスクリプト化されたカメラモーションを生成できるロボットリグに通常置かれた)SLRカメラで写真を撮り行われた。 このためにMegalisのチームはカメラデータを新しいロボットのアームに適切に移行させるツールを開発した。
通常、12fpsで作業すると、それぞれのキャラクターの動きには別々のメカニカルリグが必要になる。 それらのリグは後のポストプロダクションの工程で外された。
「ONI」の全てのキャラクターは堤大介によってデザインされ、その全てが幅広い動きや表情を持っていた。 Dwarf Studioのチームは飽くなき作業で、作られた全てのパペットが彼のヴィジョンとオリジナルのキャラクターデザインに確実に忠実になるようにした。 これは同時にプロダクションにおける複雑な要件にパペットを合わせる作業と並行して行われた。

共同作業の期間、我々はDwarf Studioのチームから多くの素晴らしいものを学んだ。
THE SECOND PILOT
「ONI」のパイロットを完成させた後、この作品はストップモーションではなくフルCGアニメーションとなる決断がされた。 しかしながらこの作品にはそれでもストップモーションアニメーションの特徴が保たれることになる。 我々のワークフローで動くキャラクターが扱えることを証明するため、単一カメラ、遠くと近くのアクション、そして様々なライティングの条件がある、非常にシンプルな2話目を手がけた。

この2話目は、アセットからキャラクター、カメラまで、全ての異なる部門でストップモーションのルックを向上させるのに役立った。以下の画像を見れば分かるだろう。 上の画像がアートの参考画像で、下の画像が最終の完成ショットになる。




Character Turntables
NARIDON
ONARI
KAPPA
PUTARO
AMATEN
TENGU
KAMI
PILLOW
Working with Tonko House
PREPRODUCTION


堤大介とロバート・コンドウはTonko Houseを立ち上げる前に2人ともPixarでアートディレクターとして働いていた。 2人とも才能に驚くほど溢れているだけでなく、長編アニメーション映画での経験も豊富。 これは「ONI」には、2人が全てのキャラクターとエンバイロメントのデザインとイラストレーションを作る、優れたプリプロダクションの工程があることを意味した。 制作されたアセットの多くは、流れやロジックがしっかりしており、その結果、アーティストが制作段階で必要なことを理解するのに役立った。



以下はプリプロダクション素材の一部。
STORYBOARDS


CHARACTER DESIGN






ASSET DESIGN









LIGHT BOARDS




照明は物語を語るのに使われ、堤大介は「ONI」のストーリーを語る上で照明を天才的に駆使する。
堤大介とロバート・コンドウは我々に沢山の美しいアートボードを提供してくれ、それらはライティング、レイアウト、コンポジションにおいて素晴らしいリファレンスとなった。 ライティングはそれぞれの物語のパートの雰囲気を正しく設定する助けになった。 アートのクリエイティブなルックと物理ベースのライティングを融合させる課題が我々にはあった。 ストップモーションのルックを達成するためにはリアリスティックなシェーダーとリアリスティックなライティングは極めて重要だった。
ここに、ストップモーションのルックをフルCGに変換し、最終的な絵を作るためのリファレンスとして使用されたアートボードの一部を掲載する。
PRINCIPAL'S OFFICE



SCHOOL EXTERIOR







MOUNT KAMIGAMI



Tools and Pipeline
HOUDINI / ARNOLD
SOLARIS / USD / KARMA
Megalisは創業2年目よりArnoldを使用してきたが、「ONI」がフルCGのプロジェクトになった時、USDパイプライン構築を決断したので、それに対しての最適なワークフローを決める必要があった。 我々はUnreal Engineを含む多くの選択肢を探求したが、リアルタイムのテクノロジーに限界があったため、この作品が要求する豊かなエンバイロメントを
作る自信はなかった。.
Being a Houdini-centric studio,Houdiniを中心としたスタジオであるMegalisには既に堅固なHoudiniのパイプラインがあった。 . 我々はSolaris内に新しいパイプラインを築き、既存のMegalisのパイプラインを更新することにした。
Solarisは当時まだ初期段階にあり、レンダーへの多くのプロダクションの要件が満たされていなかったので、我々は決定を下す前に別なレンダーエンジンを検討し、メリットとデメリットを加味する必要があった。
Arnoldは当時多くの機能が欠けていた一方で、我々はプリプロダクションの間、我々のニーズを満たすことを保証してくれたSideFXとオートデスクのArnoldチームと関係性を築くことができた。
(ありがとうございました!)


左の画像はノイズ除去がかけられたKarmaのビューポート。 右の画像はArnoldのRawレンダー。
AMBILIS
AmbilisはMegalis独自のパイプライン




The World
「ONI」の物語は非常に豊かで幻想的な世界で語られる。 物語は現代の日本を舞台にしているが、妖怪が存在し、生活している世界でもある。
JAPANESE ANCIENT FOREST

「ONI」の世界は日本に実在する、屋久島と呼ばれる人里離れた島で世界でも有数の古代の森がある土地から着想を得ている。
屋久島は「ONI」の舞台になりうる植物を調査しリファレンスを集めるのに相応しい場所に思えた。 そこに調査のために訪れた後、堤大介によって森は以前想定されていたよりもだいぶ大きな要素となった。

Megalisの小規模なチームもまた、プリプロダクションのプロセスの一環として屋久島を訪れた。 チームは森の中を探訪し、山を登った。 この旅の間、可能な限りの数のリファレンスの写真を撮影し、それにはHDRIのライトキャプチャデータも含まれた。
この古代の森は「ONI」の中心的な存在の一つになった。

森の地面には、様々な種類の色やパターンがある葉っぱと苔がいたるところに生えていた。
必要なディテールの表現にHoudiniは非常に役立った。 以下の動画ではMiguel Perez Senenetによって作られた苔のシステムが披露されている。
次の動画ではエンバイロメントのRnD(研究開発)の様子の一部が収められている。
INTERIORS
おなりの家の内観ショットの一部が以下になる。 おなりにとって、暖かく素敵な家になるよう、花瓶の中の花やテーブルの上の急須など沢山の細かいディテールを加えた。 それによってシンプルなショットに豊かな表情が生まれ、本物の家のようなぬくもりが加えられた。



CAVE HOUSE INTERIOR








THE FOOD
この作品は妖怪が登場するファンタジーではあるが、「ONI」には、日本人が日常的に食べている、様々な日本の伝統料理が登場する。 納豆、味噌汁、お弁当といった色んな食事の一例をここに紹介する。




悪名高き納豆:強烈な匂いと粘り気がある豆の発酵食品! しかし非常に体に良い食べ物なので若者にも高齢者にも頻繁に消費されている!




ご飯の弁当、きゅうりの弁当(かっぱの好物)、味噌汁、特大のおにぎり。 どれも和食に欠かせない品だ。
THE CITY
Spoiler alert! ONI features a small Japanese city. For this scene, the night city scenes were a big challenge for the lighting team. We wanted to create the warm glow from the city lights while keeping the scene realistically lit.




The Characters
It was a challenge to bring the characters to life, from a 2D drawing to 3D, and keeping the stop motion puppets look at the same time.






Physically accurate shaders were necessary to achieve realistic results.

Onari and Naridon enjoy some relaxing time together inside the cave house.
The Animation
MARZA ANIMATION PLANET / ANIMA
While the Megalis team was responsible for all the imagery, the animation was handled by Marza and Anima. A combination of Japanese and foreign animators made it possible to bring the characters to life with a unique style that was in line with the stop motion look.
We would like to give a shout-out to some of the key people here from our animation and character rigging team. Sakamoto-san, Stephan and Tanaka Tsuyoshi were great in delivering the animation for the sequences.

Miquel Campos was responsible for all the character rigs and used his versatile m-gear system for the tasks on ONI.
Compositing Breakdowns
The Team
MEGALIS TEAM
Visual Effects Supervisor : Christophe Rodo
Digital Effects Supervisor : Jeffrey Dillinger
2D Supervisor : Ashley Mohabir
CG Supervisor : Miguel Perez Senent
Director of Photography / Camera : Andrew Ritchie
Asset Supervisor : Mariam Ferrer Aloy
Environment R+D : Daniel Perez Ferreira
Look Development RnD : Maung Maung Hla Win
VFX Producer : Christophe Rodo
Co-Production Manager : Lise-Marie Amar
Line Producer : Tatsuya Furuhata
Animation Technical Supervisor : Philippe Duvin
Asset Artists :
Christian Bolivar / Quentin Chaillet / Alex Cho
Paul Dubiard / Lucie Engels / Kaori Inagaki
Omar Jason / Anita Kang / Chandan Kharkia
Julia Schultz / Vishesh Srivastava / Jose Manuel Vega
Michael Wilde
Layout Artists :
Julie Durandy / Tsuyoshi Shimizu
Geraldo Tanaka / Jari Vaara
Animators : Naohiro Inoue / Josh Jager
Lookdev Technical Directors : Yuta Miyoshi / Sosuke Nawata
Lighting Technical Directors : Romain Haddad / Martin Seu
FX Lead : Philipp Buschauer
FX Artists :
Shota Kimura / Santeri Piilonen / Shumpei Yamashita
Nanako Uragami / Ryota Hamaguchi / Masakazu Murakami
Lead Compositor : Justin Gros-Desir
Compositors :
Nicole Chong Yee Mun / Yuki Hinago
Natthawat Dos Jamtaksa / Kosuke Kato
Meherzad Minbattinwala / Mizuki Ozawa / Kenshin Sakuta
Matte Painters : Hiroaki Matsui / Asami Yanai
Lead ATD : Takuma Tsuboi
ATDs : Leyla Bush / Chihiro Osanai
Production Coordinators :
Lily Dommart / Mieko Komoriya
Sayaka Imamura / Yusaku Nakagaki
Pipeline Technical Directors:
Jason Cure / Matt Puchala / Sophia-Lena Saada
Administrative Manager : Kayo Ichimura

Thank You
「ONI」の制作にはかなりの努力が必要でしたが、作品は純粋な愛によって完成しました。我々は本作品を非常に誇りに思っています。 We are immensely proud of it.
新たなオリジナルのアニメーション作品の制作を可能にして下さり、日本にある独立系のスタジオである我々に信頼を寄せて下さったNetflix様に感謝します。
一番最初から最後まで我々を信頼して下さり、この特別な旅の最高のパートナーでいて下さったTonko House様に大きな感謝を送ります。
その他の世界のみなさんには、この作品を作った時と同じくらい楽しんでいただければ幸いです。